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ハナビとマッチが狭い通りを歩いている。
「常に回りに気を配れ。危険なものはないか、逃げる時に邪魔になるものはないか。隠れられる場所はあるか」 ハナビが急に立ち止まった。 「ポリスだ。隠れて見ていろ。もし、俺がやられたら、ただの馬鹿野郎だったってことだ。決して、出てくるな。守ってやるっていう約束を守れないのは悪いけど、お前一人でおっさんを助けろ」 PR |
朝、マッチは悪夢で目が覚めた。叫びだしそうな自分の口を手の平で押さえて、ベッドから飛び出し、ドアを開けて走り出した。やっぱりダメだ。僕はハナビと一緒にいられない。おじさんを助けなきゃ。おじさんと一緒にいないと…。マッチの横を風が走り抜け、前にハナビが立っていた。
「は、はー!俺の勝ち!お前、遅すぎるぞ」 どうしよう。僕はどうしたらいいんだろ…。 |
ハナビがマッチに話している。
「UAHの登場だ。UAHは、Unanalized Ability Holder 未解析能力保持者の略だ。こいつも、スパコンのあの学生が定義したものだ。超能力者だとかエスパーだとかでいいのに、変わった奴だよ。スパコンの研究を途中で放ったらかしにして、UAHの研究を始めたんだとさ。そいつはこう言ってたそうだ。『俺は神の意志が知りたくて、研究をしている』」 マッチは不思議そうな顔をした。 |
「何年前のことなのか俺は知らないが、昔のことだ。世界は今みたいな一つの国ではなく、たくさんの国があった」
ハナビはパソコンを指差し、 「パソコンをちょー凄くしたスパコンっていうのがあるんだけど、こいつは電気や水やガスなんかもコントロールしているなくてはならないもんだ。そのスパコンの開発競争が行われていたんだ。駆けっこみたいなもんだな。西の大国と東の島国が争っていた。ある年、突然東の大国が一等賞取ったんだよ。東の大国はスパコンを大量生産した。東の島国の学生が書いた論文で、なんつったかな…有機生命体様結合計算機だったかな…まあ、いっぱいのスパコンをくっつけて、もっとすごーいスパコンにすることらしいんだけど、それをやっちゃたんだ。すんげースパコンを手に入れた東の大国がやったことは何か分かるか?」 |
狭い部屋がいろいろなものでいっぱいになっている。使えるのかどうか分からないような家電製品が積まれ、金庫やら健康器具のような用途不明なもので溢れ、作業台の上にはパーツや工具が転がっている。辛うじて、ベッドとテーブル、ソファが人がここが人の住んでいる場所であることを示している。
ハナビがマッチを連れて部屋に入ってくる。 「どうだー!ここが俺の住処だ」 |