俺はA1480321。こんなの憶えられないだろ。仲間内では『ハナビ』だ。だから、そう呼んでくれ。先週は鉄骨運びの重労働だったけど、今週はごみ集めだから楽ちんだ。でも、ご主人様たちはごみなんて見たくもないから、目立たないように運ばないと偉い目に合わされちまうんだ。今は細い裏道でじっとしている。学校が終わって、ご主人様たちのお子様たちが表通りをうようよしているから、動けやしない。全くたまんないよな。大体あいつら子供のくせにでかすぎんだよ。俺と同じぐらいの身長で、ご立派な筋肉だ。あ、俺は22歳の健康男子。身長165cm、体重50kg。いいもん食ってないからスリム。恋人募集中だぜ、ベイビー。…あー、早くお子様たち行ってくれないかなー。うわっと、なんだこのガキ。
「こらー、人にぶつかったら謝れ、このくそガキ!」
無視かよ。大きい声出せないからって、なめやがって。…ふらふらしてやがんな。ちゃんと飯食ってないのか…。親は何やってんだよ。ちゃんと働きゃ、配給受けれるだろうが。親がいねえのか?それとも、親が…。げ、だ、ダメだ!表通りに出ちゃうぞ!
くそガキはふらりと表通りに出てしまった。その目はうつろで何も見えてないかのようだ。少年のやせ細った脚は少年を支えきれず、少年は踊っているかのように前にのめった。大笑いしながら歩いていたお子様たちの一人にぶつかり、その筋肉にはじきとばされる。ぶつかられたお子様の顔は怒りで真っ赤になっている。
や、やばい。全力で走った。どうだ、信じられないような速さだろ。って、ちくしょー、俺の脚だと間にあっちまう。あー、俺ってバカだー!大バカ者だー!
お子様は鞄の横にセットされていた大きな拳銃を取って、くそガキの頭に向けた。
でかい、でかすぎるよ、あの銃!よっしゃー、間に合った。くそガキを抱きかかえて、転がる。やったー!俺って最高だぜ。降ろしたくそガキを背にしてお子様のほうを向いた。お子様の銃はまっすぐ俺に向けられている。だめだ。この距離だとやられちまう。かー、あきらめんじゃねえ、俺!やったるか。…だめだ、後ろにくそガキがいたんだ…。これじゃ、動けねえ。
お子様はにやりと笑って引き金に力を入れた。終わった…と観念したとき、お子様の銃を持つ手が炎に包まれ、銃が落ちた。
振り返ると、くそガキが鋭い目でお子様を睨みつけている。こ、こいつパイロキネシス!
銃を持ってご主人様たちが走ってくる。みんな、2mを軽く超えている。だめだ、囲まれる!ふらっとおっさんが現れ、炎に包まれているお子様に触れると、炎だけを残してお子様は走ってくるご主人様たちの一人の前に突然現れ、ご主人様とお子様はすごい勢いで激突した。
「UAHだ!殺すな!捕まえるんだ!」
ご主人様の一人が叫んだ。
「この子を頼む」
おっさんが、俺とくそガキに触れた瞬間、周りが一瞬にして入れ替わった。裏通りだ。考えるのは後だ。とにかく走れ!俺はくそガキを抱き上げて、走った。
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