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ハナビが目の前の鉄板を蹴った。ゆっくりと倒れていく鉄板。老人はギョッとした。
方程式でできた三次元行列の一つが次々と数字を吐き出し、三次元スクリーンの中の鉄板が倒れていく。 ハナビは倒れていく鉄板を駆け登っていく。鉄板の最上部に出たハナビ。鉄板を蹴って老人の方へ飛んでいく。次々と現れる鉄骨や鉄板。ハナビはそれらを足がかりにして一気に老人の前に着いた。ハナビの拳が老人の頬に向かった。 「やめろー!」 ハナビの口から激しい叫びが吐き出され、拳は老人の頬の直前で止まった。崩れ落ちるように座り込む老人。 「ま、負けじゃ」 「いや、違う。今のは俺の力じゃない。それに、まだあんたには触れてない」 PR |
小さな老人は鉄板に手を触れる。
「じゃあ、いかせてもらうぜ!」 駆け出したハナビ。その目の前に鉄板が突然現れる。ハナビは鉄板に激突してぶっ倒れる。 「いってー!」 ハナビは鼻血を拭いながら立ち上がった。 「トラックのおっさんと一緒か。簡単には近寄れないな」 駆け出すハナビ。目の前に現れる鉄板。ハナビは横に跳び、そこに現れた鉄骨に激突して倒れる。ハナビが顔を歪めながら立ち上がる。 『スピードを出せば出すほど大きなダメージを受ける。かといって、スピードを失えば、俺は俺じゃなくなる』 ハッパが手に持っていた七節棍を掲げる。ハナビは首を横に振る。 『あのじいさんは俺を追い返したいだけだ。今は手加減している。下手に武器を持ったら、殺されかねない。つー、いてぇな。頭がくらくらしやがる。こっちの一番の武器が、相手の武器になるとは…』 「諦めて、さっさと帰りなさい」 |
「何の用だ」
少年はハナビの問いに答えようとはせず、マッチに話しかけた。 「ごめんね」 「謝らなくていいよ。村に迷惑をかけたのは私だから」 「友達だって言ってたのに、僕は何も出来なかった」 「しょうがないよ。私は化け物だから」 少年は激しく首を横に振った。 「サンショが私のことを化け物と思っていないことは嬉しい。でも、村の人たちは私のことを化け物だと思っている。これは事実」 ハナビが話に入ってきた。 「人は自分が理解できないものを化け物と呼ぶ。本当に理解するためには多くを学ばなければならない。他人にそれを強要することはできない。仕方なかったとはいえ、マッチは実際村に迷惑かけちまったしな」 「マッチ?」 「うん。今はそう呼ばれている。ありのままの私を受け入れてくれる仲間がここにいる。今、私幸せだよ」 刃を体から突き出すブレード。 「まあ、俺たちの方が化け物だけどな」 「化け物♪化け物♪」と歌いながらランチャーが踊りだす。ハッパも一緒に歌いながら踊った。 「よかった。友達ができたんだ」 「違う。皆は仲間。友達はサンショだけだよ」 「まだ友達っていってくれるんだ」 「当たり前だよ。ずっと友達」 マッチが拳を握る。サンショも拳を握って、軽くマッチの拳にぶつけた。 「ずっと友達」 「ありがと」 「こっちこそ、ありがと」 「じゃあ、もう帰って。私と一緒にいるのを知られたらまずいよ。仲間になる必要はないから」 「分かった」 少年は名残惜しそうに何度も振り返っては手を振って帰っていった。 「やっと終わったな」 ハナビの言葉にマッチが頷く。 「お前の生まれた村へ行くぞ」 「どうしても?」 「どうしてもだ。俺は長老に会いたい」 |
砂漠の中の村の入り口に着いたハナビたち。入り口近くにいた村人二人がマッチを睨みつける。俯くマッチ。一人が奥に駆けていき、村人達をつれて戻ってきた。
「その化け物をよこせ!」 「話を聞いてくれ」 ハナビがマッチの前に立った。 「化け物の仲間だ!やっちまえ!」 村人達は石を拾って投げつけた。ハッパ、ランチャーとブレードは慌てて後ろへ逃げた。マッチとマッチを守るために前に立つハナビが残った。 「ハナビ!私が罰を受ける!」 「じっとしてろ!」 大きな石がハナビの額を割った。流れ出る血。 |
村の中心にある広場に集まっている村人たちは興奮していた。ハナビは村人たちの前に杖を持って立つ老人と向かい合っている。ハナビの後ろではマッチたちが心配そうにしている。
「奴らを殺すなというのか」 「そうだ」 「奴らを殺さなければ、我々が殺される」 「殺しても、新手が殺しに来るだけだ」 「わしらは戦う。皆殺しにされても、一人でも多く殺してやる」 村人達が賛同の声をあげる。 「皆殺しにされてもいいなんて、あなたはそれでもリーダーか」 「では、どうしろと」 |